「書く」とか「伝える」って、本来はとても楽しいことです。だけど、そこには「しんどさ」もあります。
だからこそ、世の中には「書き方」や「伝え方」のノウハウがたくさんあるのでしょう。
じゃあ、一体何がしんどいのか。
その一つが「言葉にできないもどかしさ」ではないでしょうか。
「伝えたいこと」は、確かにある。だけど、うまく言葉にできない。まとめられない。
頭・心のなかには、伝えたい「何か」がある。だけど言葉にしようとした途端に、急に質感が変わってしまう。時に、とても「陳腐なもの」になってしまうことだってある……
どうしてこんなにも「言葉にすること」は難しいのか。この記事では、それを深掘りしていきます。
「言語化が難しい」と感じる理由。
突然ですが、Chat GPTについて思い出してみてください。
Chat GPTを初めて使った時、こちらの投げた「問い」に対して、スラスラ〜と瞬時に「アウトプット」を出す様に驚きを感じた方も多いのでは?
この時、
「問い」(インプット)→答え(アウトプット)
のあいだの誤差は、ほぼゼロ。あっても数秒です。
でも、人は違います。「インプット」と「アウトプット」のあいだには「時差」がありますよね。
先に結論を言えば、この「時差」や「あいだにあるもの」が「言語化は難しい」と感じるものの正体です。
だけど、人のしくみに照らせば、この時差はあって当然のもの。
では、この「時差」のあいだに一体、どんなことが起こっているのでしょうか?
「言語化」の5つのステップ
「まだうまく言葉にできないのですが……」
「まだ咀嚼できていないのですが……」
ワークショップやセミナーの際、こんな感想を抱いたり、聞いたりすることはありませんか?
私、この言葉を聞くたびに嬉しくなります。
なぜなら「その言葉」は、嘘のないものだと思うから。
ワークショップやセミナーに限らず、本や記事で読んだり、旅行をしたりと「インプットしたこと」が咀嚼されて、自分なりの「言葉」になる(言語化される)までには、時間がかかります。インプットしたものが言語化され、アウトプットされるまでのイメージは、こんな感じです。
まず、インプットされた情報(①)は、身体に蓄積されます(②)。
そして、自分の内部(身体・心)で咀嚼・消化される(③)ことで、徐々に自分なりの「言葉」になっていきます(④)。これらのプロセスを辿ったときに、はじめて手応えのあるアウトプット(⑤)ができるようになるのです。
これが「インプット→言語化→アウトプット」の一連のステップです。
Chat GPTとは大違いで、結構面倒くさい道を辿りますよね。
なんと言っても面倒くさいのが「咀嚼・消化」(③)のプロセス。
外から見ると、一体どれだけ進んでいるかわかりません。
まるで「止まっている」「何もしていない」ようにも見えます。だけど、この「咀嚼・消化」のプロセスが、言葉に「力」を宿らせるのです。
「言葉」に力が宿っていくシンプルなメカニズム
一つのインプットを咀嚼・消化しただけでは、言葉に宿る力は、大したものではないかもしれません。
でも、インプットが蓄積されて、それが咀嚼・消化されたものが身体一杯に溜まっていくと、自ずとアウトプットの熱量は大きくなっていきます。
イメージとしては、こんな感じです。
溜めて、溜めて、溜めて
「もうこれ以上は溜められない…!!!」
と思える段階までインプットし、咀嚼・消化したうえで言語化されたとき「言葉」は大きな力を宿します。
そして、大きな力を宿した言葉は、深く、強く、遠くまで響いていくことになるのです。
ここまでに書いたことは、私の経験則に基づくものです。
だけど、経験的にこうした感覚を味わったことがある方は多いのでは?
言葉自体はとてもシンプルなのだけど「妙な納得感」がある
その一言に、なんだか「救われた感覚」がする
全然そんなつもりじゃなかったのに、話を聞いていたら(その本を読んでいたら)つい○○してしまった など
力を宿した言葉は、こんな奇跡みたいなことを引き起していきます。
言語化できないのは「語彙力」や「スキル」のせいではない
閑話休題。
話を元に戻すと、私が一番お伝えしたかったのは、これです↓
「言語化」は、誰にとっても難しいものです。
それは、語彙力が低いせいでも、スキルが足りないせいでもないのです。
「言葉にできない。言葉にするのが難しい」と感じるのは、ある意味では人間が人間たる所以。
そして、この「難しさ」こそが人間らしさであり、この難しさを感じているときにこそAIには表現し得ない「何か」が生み出されています。
だから、敢えてお伝えします!
「言葉にすることの難しさ」「言葉にできないもどかしさ」を感じているあなたは、既に、言語化の力を育むプロセスの真っ只中にいます。
そして、今感じている「難しさ」「もどかしさ」こそが、あなたの言葉に力を与えていきます。栄養のように、少しずつ少しずつ、確実に蓄積される「何か」があるのです。
だから、どうか安心して「難しさ」や「もどかしさ」を感じながら、試行錯誤を続けてくださいね。
あなたの言葉が、必要としている人に、深く、強く響いていきますように!
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